金の取引価格が過去最高額を記録している昨今、金の購入を検討している方は少なくないでしょう。そこで当記事では、金を買いたいと考えている方に向けて、購入方法や買うメリットを解説します。また、金を買うときの注意点もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

主な金の購入方法

金を買う方法として一般的なものをご紹介します。どのように金を買おうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

現物のインゴットや金貨

金と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、インゴット（ゴールドバー）や金貨など金の現物だという方は多いでしょう。金の現物は、貴金属店・地金商・証券会社・百貨店などの業者と取引して購入できます。直接お店へ足を運んで購入することはもちろん、業者によってはインターネットや電話での購入が可能です。現物を入手できるため、金を持っているという実感が味わえるとともに、いつでもスムーズに現金に換えられる点が魅力です。

なお、インゴットは純金（24金）で作られているため、金相場とほとんど同じ価格で取引されます。一方、金貨は地域ごとに美しいデザインが施されています。金貨によっては付加価値があったり、加工費やケース代などの諸費用が加算されたりするため、インゴットよりも取引価格が割高になる場合が多く見られます。

投資信託

投資信託とは投資家から集めた資金をまとめて、運用会社が金をはじめとして株式・債券・不動産などに分散投資し、その運用成果を投資家に還元する金融商品です。少額から投資できる上に金融のプロに運用を任せられるため、個人で行う株式投資やFXなどと比較すると赤字になるリスクが低いといえます。

ファンドマネージャーが最大限の利益を生み出せるように日々運用してくれるので、専門知識がなくても金の投資を丸ごとお任せできるのが大きなメリットになります。初めて金を購入するなら、安全性が高くプロに運用を依頼できる投資信託がおすすめです。

金ETF

一般的な投資信託の他に、上場投資信託の「ETF」もあります。投資信託は1日に1回しか価格が見直されませんが、ETFでは東京証券取引所などの金融商品取引所に上場しているため、日経平均株価や東証株価指数など特定の指数の動きにリアルタイムで連動するという特徴があります。

金ETFは、金の市場価格に連動するように設計されており、株式のように市場価格で金を売買できます。そのため、ある程度の投資経験を積んでいる方におすすめの方法で、投資信託と比べて保有中にかかる運用管理費用が低い傾向にある点が魅力です。

純金積立

純金積立とは、毎月一定額で金を購入していく投資方法で、貴金属店や証券会社、銀行などで利用できます。投資信託と同じように少額から始められることに加え、長期的な資産形成に適していることから数十年単位で金投資を行いたい方に向いています。

純金積立には、毎月同じグラム数で金を買う「定量積立」と、毎月一定の金額で金を買う「定額積立」の2種類があります。業者によっては、1グラム単位や1,000円単位から取引できるので、投資初心者でも始めやすいでしょう。

金先物取引

金先物取引とは、決められた期日または限月に事前に定められた価格で金を売買する契約を結ぶ取引を指します。先物取引では、自己資金以上の取引を行うことを可能にする仕組み「レバレッジ」を効かせた取引を行うことができます。ただし、少ない資金で大きな利益を得られる可能性がありますが、損失も大きくなる可能性があることにも注意が必要です。

金を買うメリットや魅力

ここまで金の購入方法を見てきましたが、つまるところ金を買う魅力は何なのでしょうか？金を購入することで得られるメリットを解説します。

価値が安定している

金は希少性が高く、世界中に広く流通しており、世界各国から高い需要があります。また、金そのものの価値や信頼性が高いという共通認識があるため、価値が安定している点がメリットです。株式や不動産のように、ある日唐突に価値が大暴落したり、無価値になったりする危険性は限りなくゼロに近いです。また、純金は変質しづらい性質を持っており、経年劣化によって価値が低下することもないため、いつでもどこでも安心して取引できます。

インフレにもデフレにも強い

金は、インフレにもデフレにも強い資産として人気を博しています。インフレとは物価の上昇が継続することを指しますが、言うなれば貨幣の価値が下がっているのです。金の現物は「もの・商品」ですので、金の価値はインフレ時には上がります。

金が他の商品と大きく異なるのは、デフレ時であっても価格が上がる可能性がある点です。2008年に起きたリーマンショックに起因するデフレ時には、金価格が高騰しました。金には「価値がなくならない（急激には下がらない）」という厚い信頼性があります。株式や債券のように破綻しない資産を手に入れようと、投資対象を金へと変更する人が増加した結果、需要が供給を上回りデフレ時でも金の価格が上昇したと考えられます。

リスクを分散できる

投資対象を1つにだけ絞っていると、いざ有事が起きたときに一気に大損してしまうかもしれません。そのため、株式や不動産などと併せて金投資を行えば、金融危機に直面した際にリスクを分散できます。また、金投資の中でも「現物を保管しながら投資信託も運用する」というように、複数の手段を持っておけばさらに効果的にリスク分散ができるでしょう。

金を買うときのデメリットや注意点

金を買うのはメリットばかりではありません。デメリットや注意点も存在するので、以下の内容をよく確認した上で実際に金を購入するかどうかを検討しましょう。

手数料がかかる

金を購入する際に、販売手数料や信託報酬などの手数料がかかります。例えば金の現物購入では、500g以下の金を購入すると「バーチャージ」という手数料や、業者での預かりサービス利用料が必要です。投資信託では「購入時手数料」「信託報酬（運用管理費用）」「信託財産留保額」などの手数料が請求されます。自宅で保管するにしても、金庫の購入費用や金庫の設置場所の確保などのコストがかかります。手数料や必要経費以上に金の取引で利益が出せるよう、充分に注意して投資しなければなりません。

配当金や利息を受け取れない

金をただ所有しているだけでは、銀行預金や株式のように利息や配当金は生まれません。金投資で利益を出すには、金の取引価格が安いタイミングで購入し、高いタイミングで売ることが重要です。インカムゲインは発生しないため、保有しているだけで次々と利益を出したいと考えている方には、金の購入は向いていないでしょう。

盗難や紛失に十分注意する

近年、金は1グラム10,000円以上する高級な貴金属であり、価値が非常に高いことから盗難・紛失のリスクに十分注意する必要があります。そのため、金の現物を自宅で保管する場合は、ただタンスや押し入れにしまっておくだけでは不十分です。自宅で保管するなら金庫が安全ですが、金庫を丸ごと盗難・紛失する可能性を捨てきれません。

より厳重なセキュリティを確保したいなら、金融機関の貸金庫に預けると安心ですが、前述したように保管には手数料がかかります。

為替に影響される

金を売買する際は米ドルの価格をもとに取引されますが、日本国内で購入する際は円建てとなるため、為替の影響を大きく受けやすくなります。

金の購入に適しているタイミングは「円高・ドル安」で、円の価値に対してドルの価値が下がっており、金を円安時よりも安く購入できるためです。反対に、金を売却するべきタイミングは「円安・ドル高」です。ドルの価値が上昇するのに伴って金の価格も上がるため、お手持ちの金を高額で売ることができるでしょう。

金を買うまとめ

金を買う方法は、投資信託・金ETF・金先物取引など複数種類あるので、自分に合う手法で購入しましょう。金には安定した価値があり、インフレにもデフレにも強いといった点がメリットですが、その一方で運用や保有には手数料がかかったり、配当金や利息を受け取れなかったりするというデメリットがあります。メリットとデメリットをよく比較した上で、金を買うか検討することがおすすめです。

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