新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻など、世界情勢が次々と変化していく中、最近では金の取引額が過去最高になるほど上昇しました。金の価格は今後どのように変動するのかを予想し、その根拠をご紹介します。またコロナウイルスなどの要因や、金での投資がおすすめな方の特徴も併せて解説します。

長期的に見れば金の価格は「上昇する」と予想される        

新型コロナウイルスが流行する前の2020年1月には、1gあたりの純金の取引価格は5,590円でした。しかし、2023年12月4日には10,928円と約2倍にまで上昇し、日本国内での過去最高額を叩き出しました。

今後、長期的に見れば、金の価格は高くなり続けると考えられていています。金の価格が上昇すると予想できる根拠は次の章で詳しく解説しますが、世界的な金の供給不足や採掘コストの上昇などが挙げられます。

ただし、「2030年には12,000円代になる」というように、具体的にいつ・どのくらいの価格になるかは専門家でも予想できない点に留意しておきましょう。

短期的な予想は専門家でも難しい理由

世界情勢は刻一刻と変わるので、短期的な金の価格の動き方については、専門家でも予想が難しいとされています。例えば、新型コロナウイルスによる感染症が2020年2〜3月に世界中で爆発的に拡大するということは、2019年以前には誰も予想できなかったことでしょう。2014年にロシアがクリミア半島を占領したことで雲行きは怪しいと一部の専門家は分かっていたものの、「2022年2月24日」にウクライナに「軍事侵攻」すると、具体的な日付や事象までは予想する余地がなかったと思われます。

また、金を大量に保有する有名な投資家が、何かをきっかけにしてすべての金を手放すことで、市場に金が出回り過ぎて金相場が下落する可能性もあります。このように世界情勢は急激に目まぐるしく変化するので、政治や経済に詳しい専門家でも短期的な金の価格の予想は難しいのです。

金の価格が上昇すると予想できる根拠         

前項で金の価格が上昇するという予想を示しましたが、その根拠を6つ挙げて解説します。

ロシアのウクライナ侵攻

2022年以降の金の価格に影響を与えている最大の要因が、ロシアのウクライナ侵攻です。2022年2月にロシアが侵攻を開始してから、株や通貨の信用・価値が揺らいだため、一瞬で価値がなくなることがない金への需要が急激に高まりました。世界中が先行きの見えない状況に陥り、金を買い求める人が増えたため金の価格が上昇したのです。

ロシアのウクライナ侵攻は現在まで収束していないので、ロシア・ウクライナ情勢を不安視する人が絶えず、今後も金の価格は上昇する可能性があります。

世界的な金の供給不足

近年ではパソコン・スマートフォン・タブレットなどの電子機器の製造により、金の需要が急激に増えています。ですが、金の埋蔵量には限りがあり、一気に大量に採掘できないため、供給がまったく追いついていません。ロシアのウクライナ侵攻により資産としての金の需要が高まる一方、世界中の電子機器メーカーから部品としての需要もあるため、より金の供給不足が顕著になっています。

金の採掘に莫大なコストがかかる

現在、新たに金を手に入れるためには採掘しか方法がなく、地上にある金の採掘には多大なコストがかかります。さらに、海底の鉱山まで採掘が可能な機械を新たに生み出すにしても、その機械を造るまでに莫大なコストが必要です。

今現在でも、金の採掘には多額の費用がかかるのに、機械の開発費も加味するとなれば、当然金の小売価格に上乗せせざるを得ません。ですので、金の価格は長期的に見れば上昇していくものと予測できます。

円安

日本において金の価格が高騰している要因には、円安も絡んでいます。2023年末には一時、日本円が1ドル＝151円台になるほど、歴史的な円安となっています。

金は世界的にはドル建てで取引されていますが、日本国内では円に換えて取引されるので、金相場だけではなく為替相場も影響するのです。例えば、金の価格をドル建てで1g＝50ドルと仮定した場合、円建てにした際の金の価格は、円高時と円安時で比較すると以下のようになります。

• 1ドル＝90円（円高）のとき：4,500円
• 1ドル＝150円（円安）のとき：7,500円

このように、円安時には円高時よりも金の価格が3,000円も上がることになります。ですので、円安時に円建てにして金を取引しようとすると、どうしても金の価格は高騰します。今後も円安が続くようであれば、金の価格は上昇し続けるでしょう。

新興国の経済成長による需要の高まり

投資への需要が高い金は、世界各国の中央銀行から「需要の高い資産」とされています。2020年代に入ってからは、中国やインドなどの新興国の中央銀行が、米ドル資産から金へ移行するように積極的に動いています。

新興国はこれから目覚ましい経済成長が期待される地域ですので、金の需要が一段と高まる可能性が高いです。また、新興国による需要が金の下値を支える要因ともなっていることから、金の価格が長期的に見て下がり続けるということはないでしょう。

金融緩和による低金利の影響

金融緩和による低金利によって、金に投資する人が増加しています。低金利のタイミングでは、債権による利息収入は期待できません。そのため、安定した資産である金へ投資する人が増えることで、金の需要が高まって価格が高騰しています。低金利が続くようであれば、引き続き金の価格は上がると考えられます。

金の価格が下落する要因

今後も金の価格は上がり続けると言われていますが、もし下がるとすればどのような理由が考えられるのでしょうか。金の価格が下落する主な要因として、以下4つを解説します。

米ドルの価格が上がる

為替の値動きは、金の価格に直接影響します。国際的には金はドル建てによって取引されているため、米ドル価格が上がれば金の価格は下落し、米ドル価格が下がれば金の価格は上昇します。このように、アメリカの景気が良くなって米ドル価格が上がることで、金の価格は下がると予想できます。

地政学リスクの解消

「地政学リスク」とは、国際情勢や経済情勢の緊張感が高まることで、世界規模で経済的不安が広がるリスクのことを指します。現在の世界情勢で具体例を挙げると、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ問題などです。ロシアが侵攻を止めたり、パレスチナ問題が解決したりすれば、世界全体で緊張感が収まって金の価格が落ち着くでしょう。

ただし、仮にロシア侵攻やパレスチナ問題が解決しても、これから世界的企業が経営破綻したり、ある地域で別の紛争が始まったりするなど新たな地政学リスクが生まれることが懸念されます。ロシアとパレスチナだけではなく、他の地域にも目を向けて地政学リスクが起こり得ないか注視しましょう。

政策金利の上昇

金利と金の価格は「逆相関」の関係であるとされていて、金利が上がることで金の価格は下がる傾向にあります。金利が高ければ、銀行にお金を預けることで得られるリターンは大きいです。しかし、金には金利がありません。そのため、金利が上昇すれば相対的に金の魅力が低下し、金の価格も低下するという流れです。

ところが、近年では金利が上昇しても金の価格も上昇した事例があったことから、注意深く動向を観察する必要が求められます。

金の供給量が増える

金は年間で約3,000トン採掘されていて、現在までに約18万トン採掘されてきました。18万トンは50メートルプールで換算すると3.5杯分で、現在の技術力を持って無理のない範囲で採掘できる金の埋蔵量は、残り5万トン・プール1杯分ほどと考えられています。

仮に大幅に技術革新が進んで金の新しい採掘場所が分かったり、一度に採掘できる量が増えたりすれば、市場に金が大量に供給されます。そうすれば金の希少性が下がって、価格が下がるかもしれません。

金を買うなら長期保有する前提で

これから金を購入しようと思っているなら、長期間にわたり保有することを前提にしましょう。前述したように、世界的な金の供給不足や金の採掘コストの上昇などの状況を考えると、ある日唐突に金の価値がなくなって価格が大暴落する可能性はほとんどありません。金の価格は今後ますます上昇していくたと予想されるため、金をずっと保有し続けるなら得するでしょう。

「仕事を引退してから金を現金化して、生活費の足しにしたい」「自分の死後、子供に金を相続して安心させてあげたい」など、数十年先まで見通して人生計画を立てているなら、金で投資を行うことをおすすめします。

長期で保有しないなら、金は今すぐ手放そう

金の価格は長期的に見れば上がり続けると予想しましたが、裏を返せば、短期的に見れば今後徐々に下落する可能性があるということです。そのため、「一攫千金を狙って大儲けしたい」「価格の上昇・下落を逐一チェックして、一喜一憂してしまう」というタイプの方には、金での投資は向いていないでしょう。

もし「これから数十年間にわたり、金を保有するつもりはない」「今すぐ金を現金化したい」とお考えであれば、金は過去最高の小売取引額を記録している今が絶好の売り時です。金を手放したい方は、金を専門的に取り扱う買取業者に依頼することをおすすめします。買取業者のおすすめの選び方は以下の通りです。

出張査定に対応している

金は言うまでもなく貴重品ですので、品物を段ボールに詰めて送る「宅配査定」や自分で買取店舗まで品物を持っていく「店頭査定」では、「誰かに盗まれるのではないか」「業者に届くまでに傷ついたらどうしよう」と不安を抱く方も少なくないでしょう。ですので、査定員が自宅まで訪問して査定してくれる「出張査定」の利用をおすすめします。

出張査定なら大切な金を自分で移動させる必要がないので、盗難・破損する可能性が非常に低いです。さらに、金を大量に売りたい場合でも、難なく査定に出せます。また、買取店舗まで遠くて足を運びづらい方でも利用しやすい、といったメリットがあります。

買取額を現金で即日手渡ししてくれる

金は買取額が高くなりやすいので、現金で即日手渡しで支払ってくれる業者を選んでください。振込でのみ対応している業者の場合、振込手数料を請求されて少額でも損をしたり、振込まで時間がかかって不安になったりすることが懸念されます。買取額をすぐに査定員から現金で受け取れれば、どれだけ高い買取額になっても安心できるでしょう。

まとめ

近年、新興国の経済成長による需要の高まりや、金融緩和による低金利の影響などが要因で、金の価格は上昇し続けています。長期的に見れば今後も引き続き金の価格は上がっていくと思われますが、不安であればすぐに買取に出しましょう。金は過去最高の小売取引額を記録している今が絶好のチャンスですので、ぜひ買取業者に依頼して即日現金化することをおすすめします。

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