金の比重とは?計算方法や真贋の見極め方をご紹介
比重とは「ある物質の体積あたりの質量を示す数値」のことで、その数値が大きいほど重くなります。比重は金の純度(品位)の測定や真贋を判断するうえで、大変重要な目安です。この記事では金の比重の計算方法や、比重以外での金の真贋の見極め方などについて詳しくご紹介します。
金の比重と密度とは?
goo辞書では、比重とは「ある物質の質量と、それと同体積をもつ標準物質の質量との比。通常、摂氏4度の水を標準物質とする」と説明されています。つまり、金の比重は「金と水を比べたときの質量の比」のことです。
水の密度は1.0g/㎤(グラム毎立方センチメートル)で、金の密度は19.32g/㎤ですので、純金の比重は19.32となります。グラム毎立方センチメートルとは、「1立方センチメートル(1辺が1センチの立方体)の大きさのときに何グラムの重量を持っているのか」という意味です。
比重が水の密度である1より大きい物質は水よりも重い物質なので水に入れると沈み、反対に比重が1よりも小さい物質は水より軽いので水面に浮きます。比重は金属の種類ごとに違いがありますが、金はあらゆる金属の中でも比重が比較的高いことが特徴です。
ちなみに、密度とは「物質の単位当たりの質量」ですので、厳密には比重とは意味が異なります。ですが、実用上はほぼ同じ値と考えて問題ありません。
金の純度ごとの比重
純度(品位)とは、その金製品に含まれる金の割合を表します。純金(K24・24金)には99.99%以上の金が含有されているため、金の純度が低くなる=金の含有量が少ないということです。
純金の含有率が低いK10やK14などは、硬さを調整したり色調を作ったりするために添加する金属である「割り金」が多く混ぜられています。割り金に使われる金属には銀・銅・パラジウムなどが挙げられ、これらは金よりも比重が小さいです。そのため、金の比重は、金の純度が高ければ高いほど大きくなります。
金の純度ごとに比重をまとめると、以下の通りです。
純度 | 含有率 | 比重 |
K24 | 99.99%以上 | 19.13~19.51 |
K22 | 91.6~91.7% | 17.45~18.24 |
K20 | 83.3% | 16.03~17.11 |
K18 | 75.0% | 14.84~16.12 |
K14 | 58.5% | 12.91~14.44 |
K10 | 41.7% | 11.42~13.09 |
金の純度ごとに比重が異なるので、金の比重を計算すれば純度がすぐに判断できます。金の純度を調べたい場合は、以下の方法を用いて比重を割り出しましょう。
金の比重の計測方法
金の比重の計測方法を解説します。主な計測方法には「比重計を利用する」方法と「水に沈めて測定する」方法の2種類が挙げられますので、それぞれご紹介します。
比重計を利用する
比重計とは物体の比重を正確に測定するための専用器具で、比重計・金製品・水の3つを用います。少しでも正確な比重の値を調べたいなら、小数点以下まで計測できる比重計を用意しましょう。水は水道水で構いません。
まず比重計を使って金製品の重さを測定します。キッチンで使うような一般的なスケール(はかり)と同じように、器具の上に金製品を乗せて測定します。ですが、比重計によっては使い方が異なる場合があるので、必ず取扱説明書を確認してから計測してください。次に、比重計に水を注ぎ入れて、その中に金製品を沈めて再度重さを計ります。比重計が金製品の体積を測定して、自動で比重を算出してくれます。
ただし、金製品を水の中に入れる際に、比重計が計算ミスをする恐れがあるため、気泡が発生しないように気をつけてください。また、金製品が水面から出ていると、比重を正確に計測できない可能性があります。そのため、計測ボタンを押す前に金製品全体がしっかりと水に浸かっていることを確認しましょう。
なお、中が空洞になっている金製品や、宝石があしらわれているアクセサリーなどは、正しく比重を算出できないと懸念されます。こういった製品の比重を知りたい場合は、自分では測定せずに専門店に任せることをおすすめします。
水に沈めて測定する
水に沈めて比重を測定するには、スケール・金製品・金製品が完全に収まる大きさの容器・糸・水を準備してください。正確に比重を計算したいなら、小数点以下まで計測できるスケールを使いましょう。また、水は水道水で問題ありません。
まずはスケールを使って、金製品の重量を計測します。金製品をスケールから降ろした後、容器に水を入れてスケールに置きます。この時、リセットボタンや再び測定ボタンを押してメモリを0にしましょう。次に、金製品に糸を通したり結んだりして吊るした状態で水の中に沈め、スケールの値がどれくらい増えたかをチェックしてください。最後に、はじめに計測した金製品の重量を、増加したスケールの値で割ります。割り出した結果が金製品の比重となります。
ただし、金製品を水の中に入れる際は、金製品が容器の底や側面に触れないように注意しましょう。また、容器に接触すると金製品が傷つく恐れがあるため、慎重に取り扱ってください。
この水に沈める方法は、非常に厳密に言えば、水の中で金や糸に付着する気泡・吊した糸の体積・水の温度などが考慮されていません。比重計を利用して計算する方法と比べると正確性に欠けるため、計算した金製品の比重はあくまでも参考程度に留めておきましょう。
比重以外で金の真贋を見極める方法
金の比重を測定する方法以外で、金の真贋や品位の見極め方をご紹介します。「比重計を持っていない」「比重を計算するのが面倒くさい」という方は、以下の方法で確認してみてください。
刻印をチェックする
金製品の表面には、基本的に刻印がされています。インゴット(金の延べ棒・金地金)であれば「999.9」や「FINE GOLD」と刻印されることが一般的で、この刻印によって純金であることが明確に証明・保証されています。
ただし、アクセサリーに見られる「K18GP」といった刻印は、「K18」は金の純度を、「GP」は金メッキ(Gold Plated)という意味です。また、金メッキと似た加工方法として挙げられる金張り(Gold Filled)では「GF」と表現されます。「GP」や「GF」といった刻印があるアクセサリーは純金製ではない点に留意してください。
金製品の純度や真偽性をチェックするには、刻印を見るのが最も手っ取り早く正確な方法です。しかし、一部の海外製品や模造品では刻印で正確な純度を表していない場合があるため、入手経路がハッキリしない金製品の刻印は「信憑性がないかも…」と疑った方が良いでしょう。
磁石を近づける
本物の金は磁石にくっつかないという性質があるので、金製品を磁石に近づけて反応しなければ本物である可能性が高いです。この方法であれば、金製品に刻印がなくても真贋を見分けられます。
しかし、銀やアルミなど他の金属に金メッキや金張りでコーティングしていると、磁石にくっつかなくても実際は金製品ではないという場合も考えられます。あくまでも参考程度にしておきましょう。
試金石を使う
金製品を試金石にこすりつけることでも、真贋を見極められます。試金石として広く用いられるのは、和歌山県で採れる緻密な粘板岩である「那智黒石」と呼ばれる黒くて硬い石です。那智黒石に金製品をこすりつけて削り取った金に硝酸(しょうさん)をかけ、溶けなければ金が本物と判別できます。
ただし、金製品を傷つけないと真贋が見分けられないため、あまりおすすめできません。また、硝酸を吸入すると咳や息苦しさに襲われることがあり、皮膚に触れた場合には重度の皮膚熱傷・ 痛み・皮膚黄変が起こる場合があるため、一般の方が自宅で行うには危険な方法です。実践せず、「このような方法もある」と覚えておくだけに留めておいてください。
比重を正確に知りたいなら買取業者に依頼しよう
自分では取り外せない宝石があしらわれたジュエリーや、比重が19.25のタングステンといった金に非常に近い金属が含まれた合金の場合、比重計を用いても正確な比重が計測できない可能性が高いです。そのため、お手持ちの金製品の比重を正確に知りたいなら、金に関する専門知識と査定経験が豊富な買取業者に測定を依頼しましょう。買取業者の利用に興味がある方のために、業者のおすすめの選び方を4点ご紹介します。
各種手数料がすべて無料
大手の買取業者であれば、査定料や買取料などの各種手数料をすべて無料としているところが多いです。キャンセル料も無料であれば、「他社と買取額を比較したい」「査定員の接客やサービスを受けてから実際に売るか検討したい」という場合でも気軽に利用できます。
もちろん、手数料がかからないなら「ちゃんと金の比重が正確か見極めたい」という方でも気軽に利用可能で、金製品を実際に買取に出さなくても問題ありません。1円でも損することなく査定サービスを受けられたり査定額を手にできたりするので、手数料完全無料を謳っている買取業者の利用をおすすめします。
買取実績が豊富
買取実績が豊富な業者であれば、金製品の適正な査定方法や相場を熟知しており、利用者から厚い信頼を得ていることが予想できます。「買取実績○○万件」など具体的な数字を公表している業者ですと、優良業者の可能性が高いのでおすすめです。
ただし、数字を記載するだけならどこの業者でも簡単にできてしまうので、ホームページに実際にサービスを利用した方の直筆のコメント用紙や、買い取った品物の写真と金額が掲載されているところを選ぶと良いでしょう。
査定方法の選択肢が広い
金を取り扱う多くの買取業者では、店舗内で査定を行う「店頭買取」、査定員が自宅まで来てくれる「出張買取」、業者に品物を詰めた段ボールを送る「宅配買取」と3つの買取方法を主に展開しています。
また、近年では査定してもらいたい品物を撮った写真を、買取業者が運営するLINEの公式アカウントに送る「LINE査定」や、メールアドレスに添付する「メール査定」といったサービスを実施しているところもあります。写真を撮って送るだけ、ほんの数分で査定が完了するので大変便利です。
このように、査定方法の選択肢が広いと自分に合うものが選びやすく、買取サービスを気軽に利用しやすくなります。買取方法に悩んでいるのであれば、業者に問い合わせておすすめの方法を提案してもらいましょう。
ネットで良い評判が多い
上記の方法で気になる買取業者が絞り込めたら、ネットでの評判を見比べてみましょう。ネットにはその業者を実際に利用した人からの口コミが投稿されているので、ホームページだけでは分かりづらい査定員の態度・店舗の様子・サービスの内容などの詳細がうかがい知れます。良い評判が多いなら優良業者である可能性が高いので、ぜひ一度利用してみてください。
金の比重とアルキメデスの逸話
アルキメデスとは、紀元前3世紀の古代ギリシアで活躍した有名な数学者・物理学者・技術者・発明家・天文学者です。アルキメデスは「浮力の原理(比重の概念)」をはじめ、「テコの原理(重心の概念)」「球体の表面積・体積の計算」「円周率の計算」などの科学法則を発見しました。
そんな科学に多大な影響を与えた科学者・アルキメデスと金の比重にまつわる、あまり有名ではないものの興味深いエピソードをご紹介しましょう。
アルキメデスと金の王冠
ある時、イタリアのシチリア島南東部に位置する都市・シラクサを治めていたヘロン王は、純金で王冠を作りたいと思いました。金細工師を呼び寄せて金塊を渡し、その後立派な純金の王冠が無事完成します。ところが、その金細工師が混ぜ物を入れて王冠を作り、一部の金塊を盗んだのではないかという噂が広まりました。
噂がヘロン王の耳に入ったことで、王自身も王冠が純金製かどうか気になりました。そこで、ヘロン王は当時から有名であったアルキメデスを王宮に呼び出して、「王冠に傷をつけずに、他の金属が混ぜられていないかを調べよ」と命じます。王からの依頼を承諾したものの、アルキメデスはなかなか最善の方法が見つからず途方に暮れていました。
ある日、アルキメデスが風呂に入った瞬間、水が浴槽からあふれ出る様子を見て、比重を用いて純度を調べる方法を思いつきます。このときアルキメデスは、喜びのあまり服を着ることも忘れて「エウレカ!(ギリシア語で「分かった!」の意味)」と叫びながら裸で街中を走り回ったと言われています。
その後、王冠と同じ重量の金塊を用意し、水を入れた容器に金塊と王冠をそれぞれ投入しました。すると、金塊を入れたときよりも、王冠を入れたときの方が明らかに多く水があふれ出たようです。
王冠が本当に純金のみで作られているのであれば、金塊と同じ量の水があふれ出るはずです。しかし、王冠の方がたくさんの水があふれ出たので、アルキメデスは「王冠には混ぜ物がされている」と結論づけました。彼のひらめきによって比重を使って金の純度を調べる方法が発明されたことから、浮力の原理は「アルキメデスの原理」とも呼ばれるようになりました。
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金の相場は「需要と供給のバランス」「戦争など地政学的リスクに備えるために金が買われやすい」などの影響を受けます。今後も、金の価値が値上がりするとは限りません。買取価格が高まっている今なら、金を高価買取できるチャンスです。
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