翡翠は色でランクが変わる?特徴や種類、お手入れ方法を解説
翡翠は濃いものから薄いものまでバリエーションが豊かですが、色味が異なるとランクも変わります。この記事では、どのような色味や種類の翡翠がランクが高いのかを具体的に解説します。また、価値を落とさないために自宅でできるお手入れ方法や、簡易的な真贋の判別方法も併せてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも翡翠とは
翡翠は古くから「東洋の宝石」として珍重されてきた、深緑色を代表とする美しい宝石です。深緑・青・白・黄・黒などさまざまな色合いがあり、中でも深緑の翡翠は「琅玕(ろうかん)」と呼ばれて特にランクが高いとされています。ガラスのような光沢ではなく、ろうそくのような柔らかいツヤ感が魅力で、日本人の黄みがかった肌によく似合います。透明度にも幅がありますが、透明度の高いものは光をよりしっかりと反射して色が美しく見えることが特徴です。
翡翠は5月の誕生石で、「幸運」「繁栄」「長寿」「健康」などの効果があるとされています。また、魔除けとしても効果があるとされていて、昔から世界各地で儀式や呪術といった場面や埋葬品として利用されることが多かったようです。
翡翠の日本での歴史
現在判明している日本の翡翠文化は、新潟県糸魚川市付近において約5,000年〜6,000年前に始まったようで、日本は世界最古の翡翠の産地の一つとして有名です。縄文時代中期から後期にかけて糸魚川産の翡翠は加工され、勾玉や大珠などの装飾品として日本各地に広まりました。古墳時代(3世紀〜7世紀)になると大陸から伝わった技術を取り入れ、より精巧な翡翠製品が作られるようになります。特に大和朝廷は翡翠を重宝し、古墳の副葬品として用いました。
奈良時代以降、翡翠は次第に衰退し、その文化は途絶えてしまいました。しかし、1938年(昭和13年)、新潟県糸魚川市小滝川で翡翠が発見されたことをきっかけに、日本の翡翠文化は再発見・再評価されます。1956年(昭和31年)には国の天然記念物に指定され、2016年(平成28年)には一般社団法人日本鉱物科学会から「国の象徴かつ宝石の原点」として国石に選ばれました。翡翠は日本人と切っても切れない関係にあり、日本を代表する宝石として名高い存在です。
翡翠の特徴と種類
翡翠には硬玉(こうぎょく・ジェダイト)と軟玉(なんぎょく・ネフライト)の2種類があります。見た目が似ているので長らく同じ宝石だと思われていましたが、1863年にフランスの鉱物学者によって異なる鉱物であることが判明しました。硬玉と軟玉では翡翠のランクが大きく変わるので、しっかり確認しましょう。
硬玉・ジェダイト
硬玉は主にヒスイ輝石という鉱物から構成されており、日本では「本翡翠」と呼ばれています。ヒスイ輝石のもともとの色は白ですが、翡翠が生まれる場所によって内包される鉱物の種類や割合が変わるため、硬玉は緑・白・黒などカラーバリエーションが豊かになります。
鉱物の硬さを示す「モース硬度」は6.5〜7で、他の宝石と比べると硬くありません。しかし、結晶構造が強靭なので、ジュエリーとして身に着けるには十分な強度を備えています。また、宝石市場で翡翠として取引されているものは硬玉が一般的で、軟玉よりも高価格帯にあります。
軟玉・ネフライト
軟玉は透閃石(とうせんせき)や透緑閃石(とうりょくせんせき)といった角閃石(かくせんせき)で構成されています。カラーバリエーションは少なく、緑や深緑といったグリーン系の色味が一般的です。また、硬玉と比べると色が薄くて透明度が低く、宝石市場では軟玉のほうがランクが低いとされています。
モース硬度は6〜6.5で、硬玉よりも柔らかくて傷が付きやすいので取り扱いに注意しましょう。柔らかい分、加工がしやすいため、ジュエリーは安価で取引されやすいです。初めて翡翠のジュエリーを購入したいなら、硬玉よりも手に入れやすい軟玉がおすすめです。
翡翠のランクはどのように決まる?
翡翠のランクはどのような要素によって決まるのでしょうか。翡翠のランク付けに必要な項目と、ハイクオリティとされる翡翠の特徴をご紹介します。
色
翡翠というと緑や青緑のイメージが強いですが、実は石の中に含まれる鉱物によって色味は異なり、赤・橙・黄・紫・白・黒などバリエーション豊かです。宝石市場で最も人気な色は言うまでもなく緑で、色が濃ければ濃いほど高品質とされてランクが高くなります。
反対に色が濃すぎて黒ずんだように見えたり、薄すぎて白っぽく見えたりする翡翠は価値が低いとされます。また、石全体に均等に色が行き渡っていてムラが少ない翡翠は高評価を得やすいでしょう。緑の次に人気が高い色味は、薄紫のラベンダー翡翠です。気品あふれる美しい紫色が特徴で、エレガントな宝石として高い支持を集めています。
透明度
翡翠は透明度が高ければ高いほど品質が良いとされ、ランクが高くなりやすいです。一切のインクルージョン(内包物)がなく、割れ・欠け・傷などがない翡翠であれば価値が高くなります。なお、翡翠の中でも最高ランクとされているのが琅玕で、英語では「インペリアルジェード」と呼ばれます。琅玕は鮮やかで深い緑色と高い透明度を誇り、新聞紙の上に置いてもハッキリと字が読めるほどだといわれています。
産地
現在翡翠はミャンマーを中心に、日本・ロシア・アメリカ・中国・ニュージーランド・グアテマラ・カザフスタンなど世界中で発掘されています。中でも特に品質が高い原石が見つかりやすい産地はミャンマーです。ミャンマーでは、翡翠の主成分であるヒスイ輝石の含有率が高い翡翠が頻繁に見つかります。ミャンマー産翡翠の中でもさらにランクが高いものは、中国と国境を接するカチン州で採れたものです。翡翠ならではの美しい風合いと高い透明度、さらにツヤ感を有していて、世界的に高い評価を得ています。
加工処理
翡翠には加工処理の有無や内容によって、A貨・B貨・C貨という品質のランク分けがされます。
・A貨・・・必要最小限の研磨やワックス加工だけ行った天然翡翠
・B貨・・・発色を良くするために樹脂に浸したり、透明感を出すために漂白したりと加工した翡翠
・C貨・・・翡翠のかけらや粉末を集めて凝固させ、染色処理した人工翡翠
ジュエリーとして価値があるのはA貨のみで、B貨とC貨は大幅に価値が下がります。本物の翡翠を購入したいなら、必ずA貨のものを選びましょう。
翡翠の正しいお手入れ方法や注意点
翡翠は自然に生まれた産物ゆえに非常にデリケートで、ダイヤモンドほどの硬さはないので丁寧にお手入れをする必要があります。普段のお手入れは、乾いた柔らかい布で汗や汚れを拭き取るだけで十分です。メガネ拭きなどに使われるマイクロファイバークロスの使用がおすすめです。
翡翠に付着した汚れがひどい場合は、ぬるま湯に中性洗剤を薄めたもので洗いましょう。柔らかいブラシで優しくこすり、洗剤が残らないようにしっかりとすすぎます。洗った後は柔らかい布で水分をしっかり拭き取り、風通しの良い場所で乾燥させてください。直射日光や高温は避け、涼しい場所で保管しましょう。
翡翠は乾燥すると変色することがあります。日頃から身に着けない場合は、年に1〜2回程度でよいのでオリーブオイルを少しだけ布に染み込ませて表面を軽く拭き、適度に油分を補給しましょう。また、衝撃に弱いので、落としたりぶつけたりしないよう注意してください。硬い金属に触れると傷が付く可能性があるので、他のアクセサリーと一緒に保管する場合は別々のケースに入れるようにしましょう。
本物の翡翠の見分け方
翡翠は見た目の美しさと希少性の高さから、残念ながら宝石市場では偽物が多く出回っています。そこで以下では、本物の翡翠を見分ける簡易的な方法をご紹介します。お持ちの翡翠が本物かどうかを正確に判別するには専門知識が必要になるので、あくまでも参考程度にご確認ください。
鑑別書を確認する
翡翠に鑑別書が付いているなら、専門知識がなくても真贋や価値を簡単に調べられるので必ずチェックしましょう。翡翠には硬玉(ジェダイト)と軟玉(ネフライト)の2種類があり、前述したように宝石としての価値が高く、高ランクとされるのは硬玉です。そのため、鑑別書の鉱物名の欄に「天然ジェダイト」と記載されていれば、本物の翡翠だと考えられます。
また、鑑別書には加工の有無や内容が表示されている場合があります。ワックス加工のみであれば問題ないですが、樹脂含浸や染色されたものは翡翠本来の性質がないので価値が下がります。ただし、まれに鑑別書自体が偽物というケースがあるため、内容を鵜呑みにしないよう注意しましょう。
質感を確認する
翡翠は多孔質(たこうしつ)という性質を持っていて、表面に小さな穴が無数に空いています。虫眼鏡などを使ってしっかりと表面を観察して、小さい穴があれば本物である可能性が高いです。反対に、穴がなくてツルツルとしていたり、光沢感が強すぎたりするものは偽物かもしれません。また、翡翠は熱伝導率が低いため、触れたときの感覚も確かめましょう。翡翠をしばらく握ってもずっと冷たいままなら、本物である可能性が高いです。
翡翠の色のランクまとめ
翡翠は色が濃いほどランクが高く、価値が高いとされています。また、透明度が高くてインクルージョンがなく、ほとんど加工されていないA貨のものが最高ランクに値します。ただし、宝石市場には偽物が多く流通しているので、売買する際は十分に注意しましょう。
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